ビジネスにおいて最も必要性の高い基本的なスキルが、コミュニケーション能力です。コミュニケーションが上手にできなければ、いくら個々の才能が高くても、チームとして良い結果を出すことができません。
会社というのは自営業ではなくて、組織として経営していきますから、どうしてもコミュニケーションによる団結力、統率力が必須の要素なります。
そこで今回は、コミュニケーション研修の必要性や内容について解説していきます。
1.コミュニケーション能力は低下していきやすい
会社設立当初は、特に意識しなくても社員どうしの横のつながりが密で、良い関係が構築されることが多いです。志を同じくする旧知の仲間がチームとして経営していることが多くあるのがその理由です。
しかし、経営が軌道に乗って徐々に会社の人的規模が大きくなってくると、段々とコミュニケーションが停滞してきます。やがて外部からはっきりそれと分かるコミュニケーション不足となり、それが最終的には経営不振へとつながるわけです。
1-1. 効率化によりコミュニケーションの機会が減少
特に会社は長くなるほど、効率化を求めて、電子的なツールやシステムを使って、できるだけ人の手を煩わせないようにします。それによって時間やコストが削減されるなどメリットも大きいですが、一番大事なコミュニケーションを取るシーンが一気に減ってしまうというリスクもまた大きいです。
コミュニケーションはそれをする経験が多ければ多いほど、上手くなっていく傾向が強いです。逆に機会の減少は、コミュニケーション能力を錆びつかせる要因となります。
1-2. コミュニケーション能力の向上には質の高い研修が必要
もちろん、コミュニケーションを取るようにすれば解決、というほど問題は簡単ではありません。低い水準のコミュニケーション能力を底上げするためには、量だけではなくて質の高いやり取りが求められるからです。
そこで、コミュニケーション研修が必要になります。量を確保しつつ、質も担保された高いレベルの内容を有するコミュニケーション研修が、特にオートメーション化が進んだ大きな企業ほど不可欠なものになっています。
2.近年のコミュニケーション研修
コミュニケーション研修とひとえにいっても、今では非常に多くの種類のものが採用されています。それこそ、目的や対象に応じてベストなものが選ばれます。
2-1. 新卒向けの基礎的な研修
コミュニケーション研修のなかでも特に新入社員など若い世代向けに採用されているのが、基本的な対面でのやりとりを学べる内容です。
とりわけ新卒社員は、LINEなどのSNSによるやり取りに慣れていて、対面でのコミュニケーションを不得手としている人が多いです。
ビジネスシーンでの対面コミュニケーションとなると、ごく基本的なこともできないのがほとんどです。そこで、まずは経験と慣れを植え付け、基礎知識を学ばせるべく、研修内容を構築します。
2-2. 管理職向けの面談力重視の研修
管理職のコミュニケーション能力は、今最も問題視されているビジネススキルの1つです。実は管理職の人も、経験が少ないケースが大半です。
上司や同僚とのコミュニケーションには問題がなくても、部下と面談したり、指導したり、といった点において、不安要素がみられます。
(1)部下とのやり取りがメイン
特に管理職層となると、部下と面談をする場面が増えます。このとき、褒めることは容易いですが、時として、部下の失敗を指摘しなければならないことがあります。
このとき、感情的になってしまって、双方にマイナスの結果になることが多くあります。面談において大事なのは、部下に自分のミスを理解して反省させ、いかに次のステップに生かさせるか、高いモチベーションで臨ませるか、ということです。
この面談力に欠ける管理職層は非常に多いため、この能力の向上を目的にした内容が組まれます。
3.コミュニケーション能力の具体的な内容
3-1. ロールプレイング
新人向けの研修としては、知識だけではなくて、実戦で学ばせるために、チームビルディングなどのプロジェクトを用いることが多いです。
それぞれに顧客と営業職というように担当を決めるロールプレイング形式を用いて、一定の目的(商談の成立など)を念頭に置きながら基本のコミュニケーションスキルを習得します。
(1)俳優を用いてリアルな研修に
ロールプレイングは、管理職のコミュニケーション研修にも採用されることが増えています。社員同士によるものだと、どうしても馴れ合いになりがちで、新鮮な体験が難しいです。
そこで、プロの俳優を雇う企業が多くなっています。そうすることで、テンプレートではないよりリアルな、上司の言うことを理解できない部下や、ミスをすると落ち込んでしまって立ち直れない新入社員を再現できます。
リアルに近づけることで、そこで習得したスキルをダイレクトに現場でも生かせるようになります。
3-2. ビジネスメールを実際に作成
新卒社員は、特に電子的なツールを使い慣れていることが多いですが、それでもビジネス的なコミュニケーションをネットなら可能かというと、そうではありません。
基本的なビジネスメール、文書の作成についても、実際の端末使用を通して学ぶことが行われます。
3-3. 座学から実践が基本ルート
いきなり実践だと戸惑う人が多いですから、まずは座学から始めることが多いです。必要な知識を頭に入れたうえで、それを先のロールプレイングやビジネスメール作成などの体験を通して、アウトプットできるかどうかを試します。
コミュニケーション研修の内容は、このように知識と実践の両方をバランス良く取り入れることが大事です。
4.コミュニケーション研修の内容についてまとめ
コミュニケーション研修は、新しい企業ばかりではなくて、歴史が長く、大きな会社ほど積極的に取り入れています。コミュニケーションはビジネスの基本であり、会社の発展の土台となるものですから、特に注力する必要があります。
対象も新入社員の他、管理職クラスにも及んでいます。それぞれに目的は違いますが、知識と実践の両方が大事だということは変わりありません。
知識のインプットは座学で、実践はロールプレイングなどのよりリアルを意識した内容を採用するということが増えていたりもしますので、さまざまな例を参考にしながら、社員研修を試みてはいかがでしょうか。